講義2.2.4 図解と図観

◆図的な情報表現~データの視覚化から概念の視覚化まで 概念をモデル化した図は、たとえシンプルな表現であっても、そこに深い意味やものの見方――すなわち「観」――を含んでいるものです。その点で、概念図は数値グラフや地図とは少し異なっています。そこで、概念図がいわゆる図的な情報表現の中でどんな位置づけになっているのか、それをまとめたのが下の図です。 図のヨコ軸は何を表現するかで、「データの視覚化」から「概念の視覚化」へと移り変わっていきます。タテ軸は表現の「簡素さ」「濃密さ」です。重要なのはヨコ軸のほうです。左側に置かれるものは、データを忠実に客観性をもって図に変換するものです。そこから右にいくにしたがい、抽象化や概念化の作業が入り、表現するものが物事の仕組みや本質の姿というものになります。そこにはどうしても図を起こす人の解釈や独自の観が入りはじめます。しかしその主観性は客観性を超えたところでのものであれば、実に強力な表現を生み出すことになります。 例えば、哲学者・九鬼周造が描き出した「いき(粋)」の構造の概念図。これはまさに客観を超えたところで九鬼が独自に観た「いきの構造」です。この図的表現の正しさは科学的には立証されえないものですが、ここには多くの人をうならせる鋭い洞察による解釈があります。 概念図が行き着くところには、宗教画の極みであるマンダラや禅画、抽象アートといった表現形式があります。時空を超えて残ってきたマンダラや抽象アートは、万人が理解しえないという意味では客観的ではありません。が、観ることのできる人が観れば、それはおおいなる真実を表現していて、人を引きつけてやまない

講義2.2.3 概念の図化 =時間的表現=

【例題】 「仕事とは何か」を一枚の図(絵)で描きなさい 「仕事」は大きくて曖昧な概念です。あなたはこれをつかむのに、どんな根源的要素を掘り起こし、抽象して、本質を洞察しようとするでしょうか。そして、構造的にどう表現するでしょうか───。ここでは3種類〈空間的・時間的・混合的〉の図にまとめていく思考プロセスを共有します。前回はこのうち「空間的な表現」をみました。今回は「時間的」および「混合的」な表現をみていきます。 〈2〉時間の変化でとらえる 時間的な観点から仕事はどう図化してとらえられるでしょうか。例えば、私たちはいろいろな仕事を思い浮かべるとき、その仕事をやる前とやった後で価値創造がなされていることに気がつきます。その価値創造にはいくつかの種類がありそうです。 一つには「増減させる」仕事。たとえば、物を売ったというのは販売量を増やした仕事ですし、物を速くつくれるような工夫を施したのは生産性を増した仕事です。何か機能を付け足したのであれば性能を増した仕事になります。 これを記号的に表せば、「A→A+」です。 しかし、仕事というのは、プラスの価値創造に終えられるときばかりではありません。時には下手な仕事をし、かえって仕事前より価値を下げてしまうこともあります。つまりマイナスの価値創造「A→A−」の状況です。こうしたことを考え合わせると、この種の仕事は「A→A±」と表現できそうです。 また、「変形する」仕事もあります。記号的に書けば、「A→B」です。 外観を変えたり、やり方を変えたりするのはこの類の仕事になります。組み合わせる、組み替える、編集する、もそうです。ときにはつたない

講義2.2.2 概念の図化 =空間的表現=

【例題】 「仕事とは何か」を一枚の図(絵)で表わしなさい 「仕事」は大きくて曖昧な概念です。あなたはこれをつかむのに、どんな根源的要素を掘り起こし、抽象して、本質を洞察しようとするでしょうか。そして、構造的にどう表現するでしょうか───。ここでは3種類〈空間的・時間的・混合的〉の図にまとめていく思考プロセスを共有します。 〈1〉空間的な広がりでとらえる 物事を一枚の図でとらえるときに、最も基本的な作業は、その意味の広がりを考えてみることです。その広がりを押さえるために、どんな基軸が適当かという思考目線を入れる。もし2つの軸が見えてくれば「2軸平面図」に落とし込めますし、3軸で押さえることができそうなら立体的な構造にできます。 では、「仕事」についてみてみましょう。私たちはふだん、仕事という言葉をさまざまに使っています。例えば、 「この伝票処理の仕事を今日中に片付けて」  「営業という仕事の難しさはここにある」  「課長の仕事はストレスがたまって大変だ」  「この仕事じゃ食っていくのがやっとだ」  「彼が生涯にわたって成し遂げた仕事の数々は人びとの心を打つ」  「途上国に病院をつくる。それが私のやるべき仕事です」……など。 こうした仕事という言葉が持つ意味の広がりに、どんな軸を突き刺せるでしょうか。ここが、コンセプチュアル思考の基礎力として大事なところになります。 例えば、仕事がなされる時間単位に着目します。 伝票処理のように短時間でなされる仕事もあれば、課長の仕事というようにある一定期間の仕事もあります。さらには、生涯にわたって成し遂げる仕事というふうにもっと

講義2.2.1 モデル化のための図的表現

コンセプチュアル思考は、物事を概括することが目的です。この連続講義では、まず基本スキル1として「定義化」をみてきました。これは物事の本質を短い言葉に凝縮して表現するものでした。そして2番目の基本スキルが「モデル化」です。 モデル(model)とは「模型=実物を模して形にしたもの」です。男の子はよくプラモデルを作って遊びますが、あれは例えば複雑なつくりの実物の飛行機があって、その構造を単純化しプラスチック製で縮小したものです。それと同じように、概念のモデル化は、物事の仕組みを単純化して構造や関係性を表現する手立てです。 「コンセプチュアル思考」ではモデル化のための図的表現を9種類の方法に分けて整理していますが、本稿では、その1番目「根源的要素をあげる」の中から4つ紹介したいと思います。 1-1【並列図】 その物事の根源となる要素を探り出し、それらを単純に並べる形です。例えば、古代の認識では、世界を成り立たせている元素を「池・水・火・風・空」の5つとみます。これら5大要素は互いに性質が混ざり合うことはないので、図としては並べるだけになります。 1-2【ベン図】 要素間に包含関係がある場合は、ベン図と表現をとります。例えば、「心・技・体」の場合、3つの要素は完全に分離できず、境があいまいで融合している部分があります。そのような場合は、ベン図の重なり具合で概念特性を表わすのが適当です。 1-3【階調図】 要素の関係度合いが諧調的に変わることを表わすには階調図を用いるのがいいでしょう。二元的に物事をとらえる場合、その二元の表れ方はたいてい白か黒かというデジタルなものではなく、白から

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