
講義0.2 コンセプチュアル思考とは何か?
「コンセプチュアル思考(conceptual thinking)」は、すでに一般的な定義がされているものではありません。が、ひと言で表現すると 「その物事が何であるかをとらえる思考」と言っていいでしょう。 「コンセプト|concept」というと、何か企画を起こすときの軸となる考え方を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それは狭い意味で、この語は本来「つかむ・内に取り込む」という意味を持っています。 私たちは感覚器官を通して物事からさまざまな情報や信号を受け取ります。そして何かに意識を向けた瞬間、過去の経験や知識と照らし合わせて、それが何であるかをつかもうとします。さらには、物事の奥にひそむ本質や原理をみようとしたり、物事に意味を与えたりします。そうしたことを繰り返すうちに、私たちは自分の中に「観」(=ものの見方)をつくっていきます。これら人間の広く深く豊かな認識活動をカバーする言葉が「コンセプチュアル」です。 では、「成功」や「失敗」ということを例にとって説明していきましょう。 私たちはそれぞれに頭の中で「成功」がどんなことであるか、「失敗」が

講義0.1 知の思考・情の思考・意の思考
◆ますます必要になる「考える」ことのリテラシー教育
「読み・書き・そろばん」―――世を生きていくための基盤能力として昔の人はこの3つをあげました。こうした万人が修養すべき基盤能力を英語では「リテラシー(literacy)」といいます。昨今、その概念の適用は、「情報リテラシー」「メディアリテラシー」「金融リテラシー」「経営リテラシー」など、さまざまに広がっています。
直面する状況や扱う情報がますます複雑になるビジネスの現場において、物事をきちんと考える能力は、まさに「思考リテラシー」として求められています。なぜなら私たちは物事を考えているといっても、どれだけきちんと思考できているでしょうか。単に頭の回転が速いとか、記憶力がいいとか、文章力が優れているとかの能力の高さが、必ずしも業務パフォーマンスや事業推進力、リーダーシップ、自律的な働き方に比例していないことを私たちは知っています。また、知識はたくさん持っているのに見識がない人、語学力があってもその言葉で自分の意見を書けない人をそこかしこで見ています。
考える能力のもととなる読み、書き、

「コンセプチュアル思考の教室」サイトOPEN!
本日、ここに「コンセプチュアル思考の教室」サイトを開設いたします! このサイトは、「コンセプチュアル思考」という生成途上の思考法をみなさんと一緒に考えていくサイトです。そして、自分の仕事・キャリアをコンセプチュアルに考えることによって、自分なりの軸・力を得るサイトです。サイトページにはそのための材料となるコンテンツをさまざまに掲載していきます。ときおり勉強会・ワークショップなどのリアル場に集う情報も発信します。 このサイトが対象とする読者・参加者は、次のような「考える力」に関心をもつすべての方々です。 有象無象のものごとから本質を抜き出す(=抽象する)。
新しい概念を起こす。
ものごとに意味を与える。
観(=自分なりのものごとの見方)をしっかりとつくる。
大きな絵(=グランドデザイン)を描く。
理念を立てる。
包括的にものごとをとらえる。
ぶれない軸をもつ。
根源・存在を洞察する。
ものごとの仕組みを見抜いて単純に図化する。 「コンセプチュアル思考」は冒頭に書いたとおり“生成途上”の思考法です。国内においても海外においても、すで