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さまざまな思考ワーク&ツール

「コンセプチュアル思考」のベースとなるのが次の5つの思考スキルです。
 

  1)定義化    物事の本質をつかみ言葉で表わす
  2)モデル化   物事の仕組みを単純化して図に表わす
  3)類推     物事の核心をとらえ他に適用する
  4)精錬     物事のとらえ方をしなやかに鋭く
  5)意味化    物事から意味を見出す/意味を共有できる形として描く

 

これら5つのスキルを使って、いま自分が担当する製品・サービス・事業に新しい概念の目を入れていく、あるいはキャリアに軸と力を与えていく、そのためのコンセプチュアル・ワークとツールをさまざま開発しています。

【定義化の思考ワーク&ツール】
コンセプチュアル思考は、正解値のない大きなテーマについて問いを投げかけます。例えば、「成長とは何か」「仕事とは何か」「事業とは何か」「成功とは何か」など。そうした大きなテーマについて、自分の言葉で定義をする。さらにはその定義を図化し、行動に変換する。こうしたワークはいわば自分の観――ここでいえば、成長観、仕事観、事業観、成功観――を顕在化して表現する思考作業です。

それをワークにしたのが『π(パイ)の字思考
ワーク』
です。「抽象化→概念化→具体化」の
思考フローを身につける基本演習です。

【モデル化の思考ワーク&ツール】
物事の本質的な構造や要素間の関係性などは、文章よりも図で表現したほうが把握しやすい場合が少なからずあります。

コンセプチュアル思考では、概念的な図を表現するための方法として9つの形式をあげています。また、コンセプチュアル思考では、一般的な「図解=図で解く」から一歩踏み込んで、 「図観=図を通して本質を観る」という言葉を使ったり、「infographic(情報の絵図)」から一歩踏み込んで「ideographic(概念・意味の絵図)」という言葉を用いたりします。










 


コンセプチュアル思考では、根源的なものごとに目を向けます。例えば、職種や業種。私たちは自分の職種・業種について、当たり前すぎるがゆえにほとんど深く考えません。例えば「営業」職の本質って何でしょう? 「研究」職の本質は何でしょう? あるいは、「製造」業の本質は何でしょう? 「保険」業の本質は?……そんな問いについて、モデル化してみるワークもあります。単純な問いですが、根源を見つめると気づきが多いものです。

ビジネスの企画書では一般的になってきた田の字マトリクス(2つの基軸で4象限に分ける図)ですが、その描き起こしで最も難しいのが、「いかにその2つの軸を発想するか」です。軸の切り方には次の3つが考えられます―――


  ⅰ)二元・二項軸
  ⅱ)程度軸
  ⅲ)時間軸

 

これら軸の切り方をはじめ、良い図/悪い図とは
どんなものなのかを考えていくワークをコンセプ
チュアル思考は用意しています。



 

【類推の思考ワーク&ツール】
類推いわゆるアナロジーは、文学的・哲学的な色合いが濃く出るワークです。コンセプチュアル思考では、古今東西の寓話をワーク材料に選びます。例えばヨーロッパで古くから伝わる『魔法使いの弟子』や『ゴルディ
アスの結び目』『イソップ童話』など。

文章的には平易で短い小話ですが、そこからどれだけ
のメッセージを引き出せるかは人によって実に差が出
ます。この差こそ、コンセプチュアル能力の差にほか
なりません。

【精錬の思考ワーク&ツール】
概念を研ぎ澄ませていく、これが「精錬」です。広告業界のクリエイターや企画担当者は、コンセプトを精錬する達人です。私たちも達人と同じように精錬能力を上達させたい。そのためにコンセプチュアル思考は、6つの精錬方法をあげます。


  1.結合・分離
  2.視点の移動・創出
  3.ものさし変更
  4.置き換え
  5.研ぎ澄まし
  6.喩え

 

例えば『イチゴ大福』や『回転寿司』。イチゴと大福
をかけ合わせた発想は見事ですし、寿司屋に回転を持
ち込んだ発想は驚くべきものです。 これが精錬方法
1番目にある「結合」です。

経済学者のヨーゼフ・シュンペーターは、「イノベー
ション」という概念を広く普及させた人ですが、彼は
この言葉を使う以前、「新結合」という表現を使って
いました。イノベーションは「技術革新」と訳されることも多くなっていますが、シュンペーターがもともと含ませたニュアンスは、異種のものを結合することで何かを生じさせるということでした。

コンセプチュアル思考では、結合(かけ合わせ)からまったく新しい概念を生み出すワークとして『魔法のポットによるアイデア発想』(Magic Pot Ideation)というのをやっています。

また、低価格競争に陥り陳腐化の波に流されそうな製品を新しい発想でよみがえらせる『コモディティ商品再生発想』ワークもあります。

【意味化の思考ワーク&ツール】
自分が担当する製品・サービスに意味を見出す。自分が受け持つプロジェクトに意義を与える。自分の仕事に使命を帯びさせる。そして自分が掘り起こした意味のもとに、自己を編成更新していく。こうした作業がコンセプチュアル思考の行き着く最終次元です。概念は、独自に強く持てば持つほど理念・信念へと昇華していくからです。

世の中に長く残っていく大きな仕事というものには、客観的概念を超えて、客観的理念、主観的信念が貫かれています。ほんとうに強く、深く、大きく仕事をしようとすれば、いやがうえでも、それをやる意味というものをつかまざるをえません。そのときにコンセプチュアルな能力はとても大事なものになります。














 

コンセプチュアル思考の意味化ワークはいろいろあります。 『提供価値宣言』は、自分は世の中に何の価値を届けている職業人かを一文で表現する作業です。また、 『目標を意味につなげよう』通称:L2M(Link to Meanings)は、自分に課している達成目標がどんな基盤価値、動機、あるいは理想の自己像、提供価値に結びついているのかいないのかを俯瞰するワークです。
このワークをやると、目標と目的(意味)が一致している人、目標に働かされるだけで目的(意味)に一致しない人、あるいは目的がない人などがはっきり分かれてきます。

管理職層に向けては『ザイン/ソルレン』ワーク
あります。部下・チームメンバーとともにビジョン
構築・共有を行なうための作業です。ザインとは
「存在・実態(=現実はどうなっているか)」。
ソルレンとは「当為(=何をなすべきか)」。

 

 

コンセプチュアル思考のワーク&ツールはさまざまあり、それに伴う講義もいろいろありますが、それは考えるきっかけを与えるものでしかありません。コンセプチュアル思考の研修やワークショップで、何がいちばん学びや気づきを生むかといえば、それは「参加者どうしの答えの共有」です。

正解値のない問いに対し、参加者一人一人がそれぞれの答えを掘り起こす。その表現は、その人の個性であり、内面に蓄えた経験や知見の豊かさを反映します。その多様な答えを分かち合うことが、コンセプチュアル思考の滋味深さといっていいかもしれません。

 

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